「縦走登山に必要な装備って結局何を持っていけばいいの?」
そんな疑問を解決するため、この記事では初心者向けの縦走登山装備リストをわかりやすくまとめました。春から秋のシーズンに対応した持ち物リストはもちろん、軽量化のコツや日数ごとの装備の違い、よくある失敗例とその対策までしっかり解説します。
縦走登山の装備リスト【基本編】

縦走登山では、持ち物の選び方が「快適さ」や「安全性」を大きく左右します。まずは、春〜秋シーズンにおける縦走登山で必ず持っていきたい装備をリスト化し、選び方のポイントも解説します。
この記事では、1泊2日〜2泊3日の縦走登山(テント泊または山小屋泊)を主な対象としています。テント泊縦走を想定する場合、ザック容量は40L〜60Lが目安ですが、軽量装備の場合は30L台のザックでも対応可能です。3泊以上の長期縦走では、60L以上のザックが必要になることもありますので、自分の計画に合わせて容量を選びましょう。
必携装備とその選び方
以下は、縦走登山で必ず持っておきたい装備リストです。
選び方のポイントは「防水性」「軽量性」「機能性」を意識することです。
装備アイテム | 必須理由・選び方のポイント |
---|---|
レインウェア(上下) | 縦走中の雨は避けられない。防水透湿素材で軽量なものを選ぶ |
長袖シャツ | 汗冷え防止&日焼け対策。化繊の速乾性素材がベスト |
長ズボン | ストレッチ性があり、行動中の動きを妨げないものを |
防寒着(薄手ダウン or フリース) | 朝晩の冷え込み対策。軽量コンパクトなモデルが◎ |
速乾性Tシャツ | 行動中のメインウェアとして活躍。汗を素早く乾かす素材が必須 |
靴下(替え含む) | 厚手・薄手を使い分け。必ず替えを持つ |
登山靴 | 防水性・グリップ力のあるものを選ぶ(ローカットよりミッドカット以上推奨) |
ザック(40L〜60L目安) | 日数や装備量に応じて容量を選ぶ。背負い心地も重要 |
ヘッドランプ | 万が一のビバークや日没後の行動に必須。軽量モデルでOK |
行動食・行動中の水(2〜3L目安) | ナッツ、バー、ジェルなど。水は必ず多めに持つ |
あると便利な装備
必須ではないけれど、あると縦走がより快適になる装備も紹介します。
- トレッキングポール:膝の負担を軽減。特に下りで威力を発揮
- サングラス:紫外線対策。高所では特に重要
- 帽子:熱中症・日焼け防止に必須
- モバイルバッテリー:長時間行動ではスマホの充電切れに備えて必携
- エマージェンシーシート:緊急時の保温・防寒に役立つ
- ファーストエイドキット:絆創膏、テーピング、常備薬を必ず入れておく
季節別装備(春〜秋限定)
春〜秋の縦走登山では、気温差に備えた防寒着と汗対策がポイントです。
特に春や秋は朝晩の冷え込みがあるため、薄手ダウンやフリースは必ず持参しましょう。
また、夏場は日焼け対策グッズ(帽子、アームカバー、日焼け止め)も忘れずに準備してください。
日数別|縦走登山の装備例(1泊2日・2泊3日・3泊以上)

縦走登山は日数によって必要な装備が変わります。特に「食料」「水」「防寒着」などの量や種類は、日数が増えるほど増加します。ここでは、1泊2日・2泊3日・3泊以上の場合の装備の違いや工夫を解説します。
1泊2日の装備例と軽量化の考え方
1泊2日の場合は最も軽量化しやすい縦走です。特に山小屋泊を選べばテントやシュラフが不要になるため、30L〜40Lのザックでも十分対応可能です。
ただしテント泊の場合は、テント・マット・シュラフの3点が加わるため、40L以上のザックが必要になります。
1泊2日装備のポイント:
- 食料は1日半分(行動食+朝夕食各1回分)でOK
- 水は途中の補給ポイントを必ず確認
- 防寒着は軽量なダウンジャケットで対応可能
- 荷物の総重量は10〜12kg前後を目安に
2泊3日以上の場合の追加装備と工夫
2泊3日以上の縦走では、食料・燃料の増加と防寒対策の強化が必要です。特にテント泊縦走の場合、荷物は確実に増えるため、50L前後のザックがあると安心です。
2泊3日以上で必要になるもの:
- 食料(行動食+朝夕食各2回分以上)
- 燃料(ガス缶の予備含む)
- 衣類の追加(靴下や下着の替え、防寒着の追加)
- バッテリー容量の増強(スマホ・ライト用)
また、重さを抑えるために以下を意識しましょう:
- 食料は高カロリー・低重量のものを優先(フリーズドライ、ナッツ類、アルファ米など)
- 防寒着はコンパクト収納できるモデルを選ぶ
- グループ登山なら装備の分担(テントや調理器具)も有効
実際の荷物重量の目安
縦走日数 | 山小屋泊 | テント泊 |
---|---|---|
1泊2日 | 8〜12kg | 10〜14kg |
2泊3日 | 10〜14kg | 12〜18kg |
3泊以上 | – | 15〜20kg以上 |
※これらはあくまで目安で、季節や個人装備によって変動します。
「荷物は少なく、必要最低限に」が縦走成功のカギです。
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軽量化のポイントと実践テクニック

縦走登山では、装備の重さがそのまま行動のしやすさに直結します。特にテント泊縦走では、「どこまで軽量化できるか」が体力温存や安全性を大きく左右する要素です。この章では、実体験をもとにした軽量化のポイントと、無理なく実践できるテクニックを紹介します。
不要な装備を減らすコツ
軽量化の基本は「本当に必要なものだけを持つ」ことです。以下の視点で装備を見直しましょう:
- 複数用途で使えるものを選ぶ(例:雨具は防寒着の代用にもなる、鍋は食器としても兼用する)
- 「念のため」の装備を減らす(例:予備の衣類を1セットにする、重複するアイテムを減らす)
- 軽量モデルを選ぶ(例:ヘッドランプは50g以下のものを選ぶ、ストーブは小型のアルコールストーブや軽量ガスバーナーにする)
軽量ギアの選び方とおすすめ例

軽量化はギアの選定から始まります。以下はおすすめの軽量ギア例です:
- ヘッドランプ:NITECORE NU25 MCT UL(47g)
- テント:Zpacks Plex Solo(395g)
- シュラフ:NANGA UDD BAG 380DX(680g、3シーズン対応)
- マット:THERM-A-REST NeoAir XLite NXT(370g)
- ザック:Zpacks Arc Haul Ultra 60(約900g)、HMG 3400 Southwest(約900g)
- バーナー:SOTO アミカス(81g)、エバニュー アルコールストーブ(約34g)
これらの軽量ギアを選ぶことで、総重量を数キロ単位で削減できます。特に大物3点(テント・シュラフ・マット)は軽量化の効果が大きいので、優先的に見直しましょう。
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軽量化しすぎないための注意点
軽量化は重要ですが、無理をしすぎると安全性が損なわれるリスクもあります。以下の点には十分注意してください:
- 防寒着や雨具は絶対に削らない
- 水や食料は必ず余裕を持たせる
- 緊急用のファーストエイドやエマージェンシーシートは削らない
軽量化は「必要な安全装備を残したうえで、削れるところを削る」ことが大原則です。削るのは装備の「数」や「重さ」であって、安全性ではありません。
初心者がやりがちな装備の失敗とその対策

縦走登山初心者の方が特に気をつけたいのが、装備に関する失敗です。
「これくらいで大丈夫だろう」と油断したり、「とりあえず全部持っていこう」と詰め込みすぎたりすると、思わぬトラブルにつながることも。
ここでは、筆者自身の経験や実際によくある失敗例を紹介し、それを避けるための対策を解説します。
持ちすぎ問題と対策
初心者に多いのが、「とりあえず全部持っていこう」という過剰装備です。
予備の衣類、食料、水、道具類を必要以上に詰め込むと、ザックの重量が増え、行動中の疲労感が大幅にアップします。
失敗例
- 予備の服を多めに持ちすぎてザックがパンパンに
- 予備の水を持ちすぎて、実際には補給ポイントがあったのに余分に重たかった
対策
- 荷物は「本当に必要か?」を一度見直す
- 補給ポイントを事前に調べ、必要以上に持たない
- 予備の服は最低限にし、着回しを意識する
忘れ物しやすい必須装備とは?
逆に、初心者がうっかり忘れがちなのが必須装備の欠落です。
「なくても大丈夫かな?」と思って置いてきた装備が、いざ必要なときに大きな問題になります。
忘れやすい必須装備例
- ヘッドランプ(ビバークや日没後に必須)
- ファーストエイドキット(小さなケガでも大事になる)
- 予備のバッテリー(スマホやライトの電池切れは命に関わる)
- 雨具(晴れ予報でも必ず持つ)
対策
- 出発前に持ち物リストで必ずチェックする
- 「軽いけど命を守る装備」は絶対に削らない
天候読み違いによるトラブル事例
天気を甘く見て装備を削ると、思わぬリスクを招きます。
特に縦走登山は行動時間が長く、標高差もあるため、晴れ予報でも突然の天候変化に備える必要があります。
失敗例
- 「晴れ予報だから大丈夫」と薄着で登山→稜線上で急な冷え込みに遭遇し低体温の危険に
- 雨具を持たずに出発→午後からのにわか雨で全身ずぶ濡れ、体力を消耗
対策
- 山の天気は変わりやすいを前提に、必ず防寒着と雨具を持つ
- 気温差(平地−稜線で約10℃差)を想定した装備を準備する
縦走登山の装備チェックリスト
この記事で紹介した装備リストを、持ち物確認に役立つチェックリスト形式のPDFとしてまとめました。
登山前の準備やパッキング時にぜひ活用してください。
PDFの使い方と活用法
- 印刷して紙のリストとして使用
→ 荷物を準備しながら実際にチェックマークを入れられます。 - スマホに保存して持ち歩く
→ 出先や移動中でもスマホで確認可能です。 - 登山仲間との情報共有にも便利
→ 縦走仲間と装備の分担や確認に役立ててください。
ダウンロードはこちらから
- ✅ 縦走登山装備チェックリスト【春〜秋シーズン用】(PDF)
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