「登山」「ハイキング」「トレッキング」――どれも“山を歩く”という点では似ていますが、それぞれ目的やスタイルに違いがあります。言葉の意味を正しく理解すれば、自分に合った山の楽しみ方が見つかるはず。この記事では、初心者が混乱しがちな3つの用語に加え、「バックパッキング」や「スルーハイキング」といった関連ワードもあわせて解説します。
登山・ハイキング・トレッキングは何が違うの?

どれも“山を歩く”という点では共通していますが、それぞれ目的やスタイルに違いがあります。ここでは、3つの活動の違いを順にわかりやすく紹介します。
登山とは|山頂を目指す本格的なアクティビティ
登山とは、山の山頂に到達することを主な目的とした行動を指します。高低差が大きく、体力や経験、装備が求められることも少なくありません。ルートによっては岩場や急登、滑落のリスクがある場所を通るため、ヘルメットや登山靴、地図・コンパスなど本格的な装備が必要になります。
日本では富士山や槍ヶ岳、剱岳などの高山が代表例。日帰りで登れる低山もありますが、「山頂を目指す」という明確な目標がある点が特徴です。
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ハイキングとは|気軽に楽しめる自然散策
ハイキングは、自然の中を気軽に歩くレクリエーション活動です。標高差が少なく、整備された道や遊歩道を数時間歩く程度のコースが多いため、初心者やファミリーにも人気があります。
目的は山頂ではなく、自然を楽しんだり、健康づくりやリフレッシュが中心。服装も登山ほど厳密でなく、スニーカーや軽装でも楽しめることが特徴です。代表的な場所としては、高尾山や六甲山、比叡山などが挙げられます。
トレッキングとは|長距離かつ宿泊もある山旅
トレッキングは、複数日にわたって山の中を歩き続ける長距離の山旅を指します。登山のように山頂を目指すというよりは、「山域を歩いて楽しむ」ことが目的です。行程にはアップダウンがあり、総距離も長くなるため、ある程度の体力と装備が必要になります。
宿泊はテント泊や山小屋泊が基本で、荷物も重くなる傾向があります。日本では屋久島の縦走路や北アルプスの縦走路が有名です。海外ではネパールのヒマラヤ山域やニュージーランドのミルフォード・トラックなどがトレッキングの代表例として知られています。
ハイキングよりも本格的で、登山よりも山頂到達にこだわらないスタイル――それがトレッキングの魅力です。
混同しやすい関連用語も整理しよう

登山やトレッキングに似た言葉として、英語圏を中心に使われる「バックパッキング」や「スルーハイキング」があります。ここでは、それぞれの意味と登山用語との違いをわかりやすく整理します。
バックパッキングとは|装備を背負って山中で過ごす登山スタイル
バックパッキングは、テントや食料などの装備を背負って、山中で数日間生活しながら歩く登山スタイルです。日本では「縦走登山」や「テント泊登山」に近い概念で、山の中で自給自足の生活をすることが特徴です。
英語圏では、アウトドアでの長期山行のことを指す一方で、「海外をバックパック1つで旅する旅行スタイル」を指す場合もあり、文脈によって意味が異なります。
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スルーハイキングとは|長距離トレイルの完全踏破
スルーハイキング(Thru-hiking)とは、長距離トレイルを起点から終点まで通しで歩き切ることを意味します。代表例として、アメリカのPCT(パシフィック・クレスト・トレイル)やアパラチアントレイルなどがあり、数千キロを数ヶ月かけて踏破します。
途中で町に下りて補給や休息を取りながらも、基本的には徒歩で歩き通すのが特徴です。日本ではまだ馴染みが薄い言葉ですが、挑戦するハイカーは年々増えています。
まとめ|目的とスタイルで使い分けよう

登山・ハイキング・トレッキング・バックパッキング・スルーハイキングは、いずれも「歩く」活動でありながら、それぞれに目的やスタイルの違いがあります。以下の表で特徴を振り返り、自分に合った楽しみ方を見つけてみましょう。
用語 | 目的 | 日数 | 装備 | 代表例 |
---|---|---|---|---|
ハイキング | 自然を気軽に楽しむ | 半日〜1日 | 軽装でもOK | 高尾山、六甲山 |
登山 | 山頂を目指す | 半日〜数日 | 登山装備必須 | 富士山、槍ヶ岳 |
トレッキング | 山域を巡る旅 | 数日間 | 山小屋・テント装備 | 北アルプス、屋久島 |
バックパッキング | 装備を背負って山中泊 | 数日間 | テント・食料一式 | 北米トレイル、日本の縦走路 |
スルーハイキング | 長距離トレイルの踏破 | 数週間〜数ヶ月 | 軽量装備+補給技術 | PCT、アパラチアントレイル |
どのスタイルが正解ということはなく、体力・経験・目的に合わせて選ぶことが何より大切です。それぞれの違いを知って、安全で楽しいアウトドアを楽しみましょう!
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