神戸市街地からほど近く、自然と歴史を感じられる人気の山「摩耶山」。
その中でも「上野道(うえのどう)」は、旧天上寺へと続くかつての表参道であり、今も多くの登山者に親しまれている登山ルートです。
今回は、筆者自身が上野道を実際に歩いた記録をもとに、登山口までのアクセス、ルートの特徴、見どころ、山頂の掬星台までの様子を写真付きで詳しくレポートします。
急登や注意点はあるものの、初めての摩耶山登山にもおすすめできる内容です。アクセスの良さと歴史の趣、そして絶景が楽しめる上野道の魅力を、この記事でぜひ体感してください。
摩耶山・上野道とは?

摩耶山(標高702m)は、神戸市の中央部に位置する六甲山系のひとつで、市街地からのアクセスが良く、登山や観光スポットとして人気の山です。特に山上にある展望台「掬星台(きくせいだい)」からは神戸港や大阪湾が一望でき、夜景の名所としても知られています。
登山ルートは複数ありますが、「上野道(うえのどう)」は摩耶山の南側から登る代表的なコースのひとつ。王子公園駅からアクセスでき、全体の所要時間は約2時間ほど。途中やや急な登りもありますが、整備された道が続くため、登山初心者でも無理なく歩けるのが特徴です。
なお、摩耶山の「山頂(三角点)」は掬星台の西にあり、ほんの少しだけ足を延ばすことで両方訪れることができます。目的地を「掬星台」とする登山者も多いですが、ぜひ山頂にも立ち寄ってみてください。
アクセスと登山口情報

上野道の登山口へは、阪急神戸線・王子公園駅から徒歩で約25分。駅を出て北へ進み、神戸高校の東側を通って住宅街を抜け、青谷川沿いの道を上流に向かって歩いていきます。途中には案内板もあり、ルートは比較的わかりやすく整備されています。
登山口自体にはトイレや自動販売機などの設備はありませんが、少し手前にあるまやビューライン「摩耶ケーブル」虹の駅付近には、ベンチや自動販売機があります。休憩や水分補給をしたい場合は、このあたりで立ち寄っておくのがおすすめです。
トイレや買い物は王子公園駅周辺で済ませておくと安心です。街中から徒歩で登山を始められる手軽さがありながら、しっかりと山の雰囲気を感じられる点が、上野道の大きな魅力といえます。
登山ルートの概要と所要時間

上野道は、摩耶山南側の代表的な登山ルートで、王子公園駅から歩いて登山口にアクセスできる手軽さが魅力です。登山口から山頂近くの掬星台までの距離は約3km、標高差はおよそ500mあります。
ルートは前半にかけて傾斜があり、ところどころに階段状の道や急登もありますが、全体的に道は明瞭で迷う箇所はほとんどありません。登山経験が少ない人でも、落ち着いて歩けば無理のないレベルといえるでしょう。
所要時間は、登山口から掬星台まで約1時間30分〜2時間が目安。途中で旧天上寺跡やベンチのある休憩ポイントを挟みながら、自分のペースで登るのがポイントです。
なお、旧天上寺跡を過ぎた先にある分岐を西方向へ曲がると、摩耶山の三角点(山頂)に立ち寄ることも可能です。掬星台とは別の位置にあるため、時間と体力に余裕があれば、あわせて訪れてみるのもおすすめです。
下山は同じ道を戻るほか、摩耶ロープウェーとケーブルカーを使って下山するルートも人気です。
上野道を実際に歩いてみた
登山口~旧天上寺跡

「摩耶ケーブル」虹の駅の西側にある住宅街の先に上野道の登山口があります。
2025年5月現在は土砂流出防止の工事中ではありますが、問題なく通行可能です。

はじめの分岐を右へ進み鉄棒のある場所を過ぎると展望台があります。

登山口から10分ほどの場所ですが、すでに展望の良い場所です。ベンチだけでなくテーブルもあるので、軽食を取るのにぴったりの場所です。

登山道の一部は石畳になっており、歴史や雰囲気を感じる道となっています。

またまた、展望スポットとベンチがあります。景色を楽しむことを優先するなら、やはり上野道がオススメ。

摩耶ケーブルの虹駅への分岐がありますが、左に曲がり自力で山頂を目指します。

ここを左に曲がると休憩スポット。この辺りで摩耶山中腹あたりです。

この開けた場所にはかつて峠茶屋という茶屋があったそうで、おはぎ、ぜんざい、きな粉餅、焼きとうきび、昆布菓学などの他に「ネコのフン」と呼ばれる菓子が売られていたらしいです。
あと野良猫?地域猫?のタマちゃんもここに住んでいるので、出会えたらラッキーです。

中腹地点から少し進み仁王門をくぐると、数百段ある階段が待ち構えています。

足がパンパンになりますが休み休み進みます。
旧天上寺跡~掬星台

長かった階段を登り終えると旧天上寺跡へ到着です。今は跡地なので石碑くらいしかありませんが、1976年の火災以前は立派な建屋があったそうです。

ちなみに現在の天上寺は掬星台の北側に移転しています。安産祈願などで女性からの信仰が厚いお寺だそうです。

旧天上寺跡の奥に分岐があり、摩耶山頂を踏まなくても展望の良い掬星台へ行くことができますし、摩耶山頂を経て掬星台へ行くこともできます。

摩耶山頂は三角点があるものの展望はないので、体力を少しでも温存したいのなら、そのまま掬星台へ行くのも全然アリです。

今回私は登山口から1時間30分ほどで掬星台へ来ることができました。休憩を挟みながらでも2時間あれば到着するでしょう。

掬星台は摩耶山頂よりも少し低い690m
登山だけでなくケーブルカーやバス、少し離れた場所にはなりますが自家用車でも来ることができるので、春や秋の行楽シーズンには多くの人で賑わいます。
また定期的にフリーマーケットも開かれているので、それを目的に来られる方もいます。
掬星台からの展望と下山ルート

掬星台は摩耶山の名物スポットで、広々とした展望広場からは神戸市街地や大阪湾、明石海峡大橋、さらに天候が良ければ関西国際空港や淡路島まで一望できます。標高約690m地点に位置し、昼間の眺望はもちろん、夜景は「日本三大夜景」のひとつとしても有名です。

掬星台にはベンチや売店、自動販売機、公衆トイレも完備されており、休憩や食事をするには最適な場所です。ケーブルカーとロープウェーの乗換駅「星の駅」もすぐ隣にあり、観光客の利用も多くにぎわっています。

下山は、同じ上野道をピストンする方法のほか、掬星台から摩耶ロープウェー → 虹の駅 → 摩耶ケーブルを経由して一気に麓まで下るルートも人気。疲れ具合や天候に合わせて、柔軟に選べるのがこのルートの魅力です。
まとめ|上野道は摩耶山登山の王道ルート

摩耶山の登山ルートの中でも、「上野道」はアクセスの良さ、適度な距離と傾斜、そして歴史的背景を兼ね備えたバランスの取れた王道ルートです。阪急王子公園駅から徒歩で登山を始められ、登山道も整備されており、初心者から経験者まで幅広く楽しめます。
旧天上寺跡や摩耶山山頂(三角点)、そしてゴール地点である掬星台からの絶景など、見どころにも事欠きません。さらに、下山時にはロープウェーやケーブルカーを使える利便性も、このルートの大きな魅力です。
街から気軽にアクセスでき、しっかりと“山を登った”という満足感も味わえる上野道。摩耶山登山が初めての方にも、ぜひ一度歩いてみてほしいルートです。
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