奈良県の歴史ある古道「柳生街道」を歩いてきました。
柳生の剣を求め武士が行き交ったこの街道は、石畳や情緒ある山道など、魅力的なスポットです。
関西近郊の方であればハイキングにもオススメできる場所なので、歩いた感想やルートの解説を行います。
柳生街道とは
柳生街道は春日山と高円山の谷あいの道のりを通り、奈良市市街地から柳生まで通じる古道です。
沿道に誓多林、忍辱山など、インドの聖地に見立てた仏教由来の地名が今でも残っていることから、奈良・平安時代にはすでに山岳仏教の道場となっていたと考えられています。
そして今から約300年前、柳生新陰流が興されて以来、柳生の郷には柳生街道を通り、「柳生の剣」を求める武士が行き交ったと言われています。
奈良市『柳生街道ガイドブック』
柳生街道の歴史は上記した通りで、全長約27kmの道のりとなります。
さらに柳生街道は3つの区画に分かれており、奈良駅から近い順に「滝坂の道」「剣豪の道」「柳生・笠置の道」に区画分けされています。
滝坂の道は約12km、剣豪の道9km、柳生・笠置の道6km。
メインは里山歩きのような感じで、地面が舗装されていない山道は体感で1/3か1/4くらいでしょうか。
柳生の手前のかえりばさ峠を除いては、比較的緩やかな道なので歩きやすいです。
柳生街道へのアクセス
柳生街道の3つの起点へのアクセスは以下の通り。
がんばれば1日でフルコースを歩くことができますが、体力的にキツイ場合は途中でバス停がありますので、「滝坂の道と剣豪の道を歩く」や、「剣豪の道だけ歩く」というのもありです。
滝坂の道から歩く場合
滝坂の道を起点に歩き始める場合、近鉄奈良駅から歩き始めることになります。
駅から東へ歩き奈良県庁を越え、大仏殿の交差点を右に曲がります。
詳しくは写真付きで後述しています。
剣豪の道から歩く場合
剣豪の道から歩く場合は円成寺の近くにある忍辱山(にんにくせん)バス停からの出発となります。
すべてのコースを歩くとなると大変なので、剣豪の道から笠置駅まで歩くのも良い選択肢だと思います。
柳生・笠置の道から歩く場合
柳生・笠置の道を歩く場合は柳生バス停が起点となりますが、笠置駅までの道のりは、滝坂の道と剣豪の道に比べて見どころが少ないです。
なので、近鉄奈良駅に向かって逆に歩くと良いかもしれません。
お手洗いやスマホの電波は?
奈良市が発行している『柳生街道ガイドブック』に詳しい場所が載っていますが、お手洗いは各所に点在しています。
また、スマホの電波は通じます。
木々に囲まれた場所だと4G回線で電波が1本になったりはしますが、圏外になることはありませんでした。
私はLINEMO(Softbankの電波)のSIMカードを使っております。
柳生街道ルート解説
今回歩いたルートは『柳生街道ガイドブック』に基づいて歩きました。
詳細はこちらからご確認ください。
近鉄奈良駅から峠の茶屋(滝坂の道)
今回は柳生街道をフルコースで歩きます。
近鉄奈良駅を出発したのが朝の9時28分です。
東に進み奈良公園方面へ。
ここのシカは全く人を恐れません。
エサを求めて突進してくる姿には、こちらが逆に恐怖を感じてしまうくらい。
大仏殿の交差点を右。
信号を渡って右に行くと車道になるので、信号を渡らずに右に曲がり、公園の中を通ると良いです。
高畑町の交差点を左へ。
志賀直哉旧居を少し越えたところで右に入ります。
少し進んですぐに左。
飛鳥中学校の前では、左の坂ではなく右の平坦ルートを進みます。
看板に従い柳生(滝坂の道)方面へ。
山道に入ります。
石畳の道を歩きます。
この石畳は柳生家が将軍家の剣道師範となり大名となった頃に、街道の行き来を良くしようと改修工事が行われた名残だと考えられています。
寝仏と書いた看板がありましたが、パッと見ではどれかわからなかったです。
橋を渡ります。
朝日観音。
真っ先に朝日に照らされるということで名付けられたそうです。
首切地蔵休憩舎
車道ではなく、右の石畳を歩きます。
砂利道に出たら右。
すぐに細い道が出てくるので、直進して細い道に入ります。
木々の間から遠くが見えます。
峠の茶屋が見えました。
ご主人に「ラムネあるよー」と言われたので頂戴します。
150円なり。
峠の茶屋から円成寺(滝坂の道)
お手洗いあり。
上水道施設の横を過ぎて右の小道に入ります。
分かれ道がありますが直進。
右側の山道を進みます。
しばらくすると墓地があるので左へ。
369号線に出るので向かいに渡ります。
お手洗いを直進。
円成寺の庭園です。
日本庭園らしく鯉が泳いでいました。
この時点の時刻が13時ジャストです。
円成寺から南明寺(剣豪の道)
忍辱山のバス停。
近鉄奈良駅からここまで、バスで来ることも可能です。
すぐに分かれ道があるので真ん中の道へ。
棚田になっていて良い雰囲気。
看板に従って歩くとわかりづらい分岐が。
道かどうか非常に怪しいですが、看板の指示す藪の中へ進みます。
すぐに藪は抜けるので安心を。
大きくUターン。
ゲートボール場を横目に進みます。
夜支布(やしゅう、もしくはやぎゅう)山口神社。
夜支布山口神社前の階段を下りて道路を渡ります。
途中の小道を左。
この辺りからは柳生地区の田んぼを見渡せるので非常に眺めが良いです。
水木古墳。
古墳の石室内から土師器や須恵器、鉄鏃、馬具などが出土したそうです。
古墳を過ぎたあたりから、曲がり角が多いので看板を見落とさないようにしましょう。
道なりに。
住宅の間の狭い道を進みます。
見落としやすい分岐。
小屋を見つけたら右へ。
青少年野外活動センターに出てきます。
奥の道を右へ。
南明寺へ出たら左です。
この日は南明寺に大人がいっぱいいたので写真は割愛です。
南明寺から柳生バス停(剣豪の道)
百陽荘という宿を過ぎたあたりで右です。
この辺りも田んぼを見渡せて良い眺めです。
分岐を右。
さらに右に。
ここから少しの間、かえりばさ峠という急坂を登ります。
かえりばさ峠を登って下ったら、疱瘡地蔵。
左へ行けば剣豪の道の終点「柳生」ですが、直進すると『鬼滅の刃』のゆかりの地として知られる一刀石があるので寄り道します。
分岐から片道15分ほどで一刀石です。
ピークは過ぎているでしょうが、鬼滅ファンがここを目的にけっこう人が訪れるようです。
鳥居をくぐったらもう少し。
見事に真っ二つです。
言い伝えによると柳生宗厳が天狗と試合をして切った石だそうです。
先ほどの柳生と一刀石との分岐名で戻り、柳生方面へ。
しばらくすると、柳生のバス停がありますが、笠置駅まで歩くのでスルーして直進。
柳生バス停からバスで帰る場合は、本数が限られているので確認してから来るようにしてください。
柳生バス停からJR笠置駅(剣豪の道)
柳生バス停から少し進むと十兵衛杉への分岐。
せっかくなので行ってみます。
すぐに十兵衛杉に着きますが、お墓に囲まれた場所にありました。
まぁまぁ大きな杉といったところです。
道まで戻って進みます。
奥には古城山が見えます。
奥の茶畑でしょうか?綺麗です。
道なりに進むと橋があるので渡ってすぐに左。
すぐに橋がありますが渡らず直進。
さらに直進して林道へ。
進むと橋があるので右へ。
看板には左が笠置駅と書いてありますが、ガイドマップには右から行くルートが記載されていたので右へ。
かさぎゴルフクラブの横の歩道を進み、なだらかに登ります。
ピークを過ぎてなだらかに下ります。
車道を歩くことになりますが、交通量は少ないので心配は少ないです。
駐車場とトイレが見えてきます。
さらに道なりに進みます。
わかりづらいですが、左に降りる階段があるので降ります。
少し山道を歩きます。
民家が並ぶ場所へ出てきました。
送迎と書かれた緑の門をくぐり右へ。
笠置郵便局が見えますので左折。
ようやく笠置駅へ到着。
歩き始めて7時間半ほどでした。
ちなみに、がっつり休憩を取ったりしていなくてこの時間なので、昼食の時間を設けるとプラス30分ほどかかるでしょう。
柳生街道の感想・まとめ
柳生街道をフルコース歩いた感想としては、結構ハードでした。
緩やかな上り下りが多いですが、全長約27kmもあるので疲れます。
また、ゆっくり座って休憩するような場所がほとんどなかったので、茶屋か柳生バス停の近くにある十兵衛食堂に入るのがベターです。
すべてのコースを一気に歩くよりは分割して歩いたほうが楽しめると思います。
個人的には滝坂の道と剣豪の道を歩くのがおすすめです。
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